top of page
執筆者の写真姜内科クリニック

グリコーゲンと血糖の話


こんにちは。

今回は血糖について記したいと思います。


写真は道頓堀のグリコの看板です。説明しなくてもほとんどの方が知っているくらい、名物ですよね。

当院から大阪メトロ千日前線で3駅離れた日本橋にあります。

グリコという企業名は、グリコーゲンが語源という事はご存知でしょうか。

企業理念とトップメッセージがとても素晴らしい企業でいらっしゃいます。


私たちが食事で腸から吸収したブドウ糖の一部は、次の食事にありつけるまでの空腹に備えるために、肝臓にグリコーゲンとして蓄えるようにできています。


現代はお腹が空いたらコンビニや自販機で食べ物にたどり着けますが、野生動物はもちろんですがヒトも狩猟で生きていた時代は次の食事にありつける保証はありませんでした。なので、エネルギー貯蔵システムは命に関わる重大な事です。


食事にありつけなくなったら、グリコーゲンをブドウ糖に戻して、利用します。まるで、ブレーキ時にエネルギーを電気として電池に蓄えるハイブリッドカーみたいです。しかし、グリコーゲンも無限ではありません。ヒトの体には450gのグリコーゲンを貯蔵する事ができますが、飢餓の状態が1日以上続くと、肝臓のグリコーゲンはほとんどゼロになります。たった1日でグリコーゲンが枯渇しちゃって血糖値がゼロ?!ちなみに血糖値ゼロでは生物は生きる事はできません(脳は栄養素としてブドウ糖しか使えないから)。しかし、生物は丸々1日食事をしなくても、健常な方なら命を落としません。グリコーゲンがゼロになってもです。

どうして?

飢餓状態で重要なエネルギー源は脂肪や筋肉なんですが、これについては次回に記します。


ところで、なぜブドウ糖として蓄えず、わざわざグリコーゲンに変えるのか。

理由は、ブドウ糖は水を引きつけてしまう性質があるからです。

もしも肝臓にブドウ糖としてエネルギーを蓄えてしまうと、肝臓の中に水がどんどん吸い込まれてふやけてしまいます。ついには肝細胞内部は水だらけになり、破裂してしまうでしょう。ですので、水の移動に関係しないかたちで、蓄える必要があります。それがグリコーゲンです。

今、このブログを書いているまさに今、肝臓のグリコーゲンがブドウ糖に変化しているんです。

これを読んでいる方においても、食事中でなければ、グリコーゲンがブドウ糖に変化している真っ最中でしょう。

こんな仕組みがどうやって備わったのか。本当に神秘的です。

閲覧数:4,066回
bottom of page