高血圧の方は、日本では4300万人もおり、最も患者数の多い生活習慣病です。
診察室血圧が140/90mmHg、家庭血圧が135/85mmHg以上で高血圧症と診断されます。
まず、高血圧症の原因について記してみたいと思います。
まず摂取する塩分量です。摂取塩分量が多いと、腸で吸収される塩の量が増えます。塩の吸収に伴い、水も一緒に吸収されるので、血管に流れる液体の量が増え、結果、血圧が上がります。平成30年の国民健康・栄養調査では、国民一人当たりの食塩摂取量は男性で平均11g/日、女性で平均9.3g/日という結果でしたが、高血圧症患者さんの場合は食塩摂取量は6g/日未満が望ましく、まずは減塩が必要となる事が多いです。
「そんなに塩辛いもの摂ってないけどなあ。」と思う方もいるでしょう。その感覚も間違ってはいないかも知れません。塩辛いものを多く食べる方ほど、舌の塩気を感じるセンサー部分の感度が鈍くなってしまっているという研究結果もあるからです。
原因不明の高血圧を本態性高血圧と呼びますが、他方、原因疾患があって、その結果として高血圧になってしまう場合もあります。この高血圧を、二次性高血圧と呼びます。二次性高血圧の方は高血圧患者の5~10%いると考えられています。 若いのに血圧が非常に高い、60歳を過ぎてから急に血圧が上がったというようなケースでは、二次性高血圧も鑑別すべき疾患として挙がってきます。
二次性高血圧の原因疾患は、睡眠時無呼吸症候群や腎臓の病気を除くと、ほとんどが血圧に影響を及ぼすホルモンレベルの異常にあります。
体の部位としては、左右の背中の奥の方。副腎という器官の病気をまず調べていきます。
副腎は、左右の腎臓のすぐ上にちょうど帽子を被せたようにあり、一つが5−6グラムくらいの小さな内分泌器官です。
この副腎、小さいのに複数のホルモンを作っています。中心部分(髄質)ではカテコラミンという血圧を上げるホルモンを、表面側(皮質)では①血糖値を上げるステロイドホルモン、②男性化に関わる性ホルモン、③身体の中にナトリウムイオンを保持するためのステロイドホルモンを作っています。
二次性高血圧を疑う場合、カテコラミンや③(血液の中のナトリウムを増やすホルモン)に異常が無いか、調べます。
この部位にもしも異常があれば、高血圧を手術で治せる可能性もあります。調べなければ、患者さんはずっと血圧の薬を飲み続けることになるかも知れない。上記理由により、当院はすぐには血圧の薬を開始せず、尿中の塩の量を測定したり、減塩指導したり、副腎のホルモン値測定の検査を受けていただいた上で、降圧薬を処方します(もちろんケースバイケースですが)。
以上、二次性高血圧についてでした。