糖尿病の治療を強化すればするほど、血糖値は下がってきます。
ぐんぐん下がってくると、次に心配すべきことは低血糖です。
血糖値は少々高くても緊急性を要しません。
しかし、低血糖は緊急性を要する場合があります。
脳や神経などの中枢神経系はブドウ糖のみをエネルギーとして消費しています。
他の臓器は、脂肪やアミノ酸で何とかその場をしのげますが、脳は違うんです。
つまり、血中の糖がなくなれば脳はすぐにダメージを受けていまい、低血糖では中枢神経症状が出やすくなるのです。
血糖を下げるホルモンはインスリンですが、
血糖を上げるホルモンをまとめてインスリン拮抗ホルモンと呼びます。
インスリン拮抗ホルモンには、カテコラミン(アドレナリン)、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンがあります。
血糖値は60mg/dLを下回ると、インスリン拮抗ホルモンが増え始めます。
カテコラミンは闘争時に増える交感神経を刺激するホルモンで、分泌が増加すると、発汗、心拍を速くしたり、血管を収縮させたり、振えを来します。
対処法として、糖質の摂取が必要です。
糖質には単糖類、二糖類、多糖類があります。
ブドウ糖は単糖類で、摂取すればすぐに小腸で吸収され、血糖値をすぐに上げてくれます。
ビスケットやごはんは多糖類で、唾液や消化酵素で分解され、単糖類となった後に小腸で吸収され、血糖が上がります。なので、多糖類を摂取した後は、すぐには血糖値は上がりませんが、ブドウ糖を摂取した後よりは長持ちします。
砂糖(ショ糖)は二糖類です。ブドウ糖と果糖がくっついて、できています。多糖類に比べて唾液、消化酵素で分解されやすいので、多糖類よりは速く血糖値があがります。
注意すべきは、ブドウ糖や砂糖で血糖値が回復しても、1時間後くらいにまた下がってくるかも知れないという事。すぐに吸収されてなくなってしまいますが、血中にインスリンが多量に残っていると、また血糖値が下がって来ます。
そういう時は、もう1回ブドウ糖10gを服用し、まずはすぐに血糖値を上げて、多糖類を摂取しましょう。
インスリン治療中である、内服薬で糖尿病治療を受けていてHbA1c7%未満、スルホニルウレア薬、グリニド薬を服用されている方は、外出時に念のためブドウ糖を携行されておく事をおすすめ致します。
当院通院中の患者さんは、上のような対処しても不安定なら、次回受診日まで我慢せずに早めに相談に来てください!電話でもOKですから!