肥満あるいは肥満ぎみで糖尿病がある方でインスリン治療を要さない方は、血糖を下げるためのホルモン<インスリン>はまだ分泌されている状態にあると考えられます。
分泌されていない場合は注射で補うあるいは内服薬で分泌量を増やす必要がありますが、分泌されているのなら分泌されているインスリンを有効利用できる体質に持っていけたら、血糖値は下がります。
それでは、インスリンを有効利用できるようになるには、どのように変化すれば良いか考えてみましょう。
シンプルに言えば、痩せましょう!です。
「痩せる=体脂肪を減らす=内臓脂肪や筋肉内の脂肪を減らす」です。
かつて、脂肪は単なるエネルギー貯蔵庫だと思われていました。
ところが研究により、脂肪(脂肪細胞)は、「膵臓がせっかく出してくれたインスリンの効き目を弱めてしまうような物質」を出している事がわかりました。
膵臓のβ(ベータ)細胞は、インスリンの効き目が弱められるので、もっともっとたくさんのインスリンを出そうとします。遂に力尽きるとインスリン分泌力が落ちてしまい、血糖値は急上昇します。
なので、肥満+糖尿病の方は、まず体重を落とす事が重要です。
体重を落とせば、内臓脂肪も一緒に減ってくること(相関関係がある)は、明らかですから。
難しいのは、どうやったら痩せるのかです。
うまくいかない事もあるでしょうけれど、基本的な事を以下に記していきます。
(1)体重何Kgを目指すのか?
標準体重という言葉があります。標準体重についても色々な意見や考え方はありますが、肥満の方はまずは標準体重を目指しましょう。
標準体重(Kg)=身長(m)×身長(m)×22 で算出します。
身長1.7mなら、1.7×1.7×22で、64kgです。
(2)どれくらいのスピードで体重を落とすのか?
標準体重64kgだけれど実際は100kgの方に、1ヶ月で64kgに下げましょう(マイナス36kg/月)などは無茶です。
まずは1ヶ月で今の体重の3%減量を目指してみましょう。
(3)どうやって落とすのか?
上の(1)で算出した標準体重に25を掛けてみましょう。
標準体重が64kgなら、25を掛けて1600。
1日1600キロカロリーが身長1.7mの肥満糖尿病患者さんの基本的な目標カロリーとなります。
(負荷によって25を28、30にしたりしますが、まずはわかりやすく25)
1日1600キロカロリーしか食べられない?いえいえ、1日1600キロカロリーも食べられる!この思考の転換が大切です。
1日1600キロカロリーなら、1食530キロカロリーです。
その半分を炭水化物で賄います。530の半分は260キロカロリーです。ご飯もパンも食べられます。
葉っぱの野菜は基本的にノンカロリー。お腹いっぱい食べられます。
野菜をいっぱい食べたら、肉や魚や卵が好きな方はそれを食べ、そしてご飯やパンを食べましょう。
食べられないものはほとんどありません。量のコントロールが重要です。
ちなみに私(院長)は、以下のような食事運動習慣としています。
朝食:野菜、食パン半分〜1枚、オイルサーディン
昼食:野菜(オリーブオイルをかけて)、おにぎり一つ、乾燥メザシ2匹(今里の今川製菓で購入)
夕食:自宅の日替わりメニュー(夕食が過食にならないように常に注意)
運動:通勤往復で平均1日15000歩(片道で電車4駅分くらい歩きます)
初めは、なんだか口が寂しいと思ったり、足が疲れて、ややイヤイヤでした(誰かに指示されたわけではないのですが・・・)。
しかし、いずれ慣れるであろうと信じて、継続しました。
3ヶ月ほどするとそれが習慣となり、野菜を食べなかったり歩かないと、なんだか気持ち悪くなってしまいました。
電車4駅分の交通費を浮かせる事ができ、食費もさほどかからなくなり、浮かせたお金で欲しかった運動靴を購入。さらに歩く事が楽しくなり、次は音楽も聴きたいから本来要したであろうお金で、ヘッドホンを購入しました。
患者さん方の糖尿病がよくなって、ついには姜内科クリニックへの通院が、1ヶ月に1回から2ヶ月に1回で良くなった。3ヶ月、4ヶ月・・・、中には半年に1回でも、良好な数値(HbA1c)をキープされている方もいらっしゃいます。初診時HbA1c 10%ほどだったのに、食事運動の改善のみで5%台となり、半年に1回のご通院でも大丈夫という方もおられます。
一方、運動もしたのに、食事も注意したのに、思うように血糖値が下がらず落ち込んでしまう方もいらっしゃるかと思います。
そういう時は、一緒にもう一度食事を見直し、検査でインスリン分泌能もチェックして、最も適したお薬を提案いたします。一緒に考えましょう。
糖尿病になってしまったのは、必ずしもあなたの生活習慣だけが原因ではありません。
アジア人は人種的に糖尿病になりやすいのです。
そのアジアに、西洋ベースの食習慣が入り込んで来てから、糖尿病患者数は増えてきています。
食べ物の選び方、量に注意して、たまにはラーメンも食べて、メリハリのある食生活を心掛けましょう!!